死かい
4月10日10:08

大きな音と共に教室内はガラガラと崩れた。
街は静まり返った。
何日意識を失っただろうか。





視界




起きると私のそばまでコンクリート片が落ちていた。
酷い頭痛がする。
他に人の姿は無い。
無意識にそこを後にした。


記憶をたどった。
大地の恐ろしさに心がふわふわした。

自宅があったであろう場所には何も無く、お気に入りだった人形が頭を半分つぶされたままあった。


何も無いことが不安だったので抱いて歩いた。
歩きにくい道の中で幾日も何かを探し歩いた。


靴底は磨り減っていた。
履いてる意味があるのか。
お腹が空いたらコンビニ跡地で食料を探した。
手首が無性にかゆかった。


どうして私は残ってしまったのか。


気がつくと私は最初にいた所に戻っていた。
何日かけてここに戻ったのか。
もう分からない。

自然と足は教室に向かった。
廊下はガラス片や書類でいっぱいだった。
鉄骨が見えていたりした。


ガラガラ。


懐かしい教室。

黒板には新人教師の書いた汚い字。






「生きているんだ」






心が踊った。
そうだ。
私は生きているんだ。
生きている人間が死んでる人間を羨んでどうする。



私は歩きにくいボロ靴を脱ぎ捨てガラス片の上をはだしで歩いた。


痛いけど痛いのは生きているから。

屋上まで一気に駆け上がる。

走る事が久しぶりで息が切れた。

広がる廃都市を目の前に叫んだ。



私はここに。



遠くで誰かが返事をしてくれた気がした。


明日はそこへ行こう。






一言
大災害の生き残りって絶望なんだろうなあ。
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